コンクリート打放しの住宅に6年住んでわかったこと

外観もインテリアもコンクリート打放しの住宅に住んで6年。

見た目だけでなく、性能面でもトップランナー基準を満足する省エネ性を確保し、出来る限りシンプルな間取りとディテールでコストも抑えたコンクリート打放し住宅を6年前に実現しました。

実際しばらく住んでみて思うことは、設計時に想定していたこと以上に良かったところと、残念だったところがあったことです。

目次

コンクリート打放し住宅の暑い!寒い!は本当か。

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断熱のない内外コンクリート打放しは間違いなく暑い!寒い!です。

ただし、断熱設計や空気の流れなどの環境エンジニアリングされたコンクリート打放しは木造の高気密・高断熱の高性能住宅と大きく変わることなく快適にすることも可能です。

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省エネ法改正により、コンクリート打放し住宅にも断熱性が義務付け

高気密・高断熱だけが全てではありませんが、法律では最低限の省エネ性能の確保が必要となってきています。

今までは規模の大きな施設にのみ省エネ基準の適合義務がありましたが、令和4年の省エネ法の改定により全ての新築住宅に省エネ基準の適合が義務付けとなりました。

省エネ法の改定により、コンクリート打放しであっても断熱性能について基準を満足するよう設計されることが義務付けとなっているため、昔のようなコンクリート打放しは暑い!寒い!にはならないことになります。

昔に建てられたコンクリート打放しの建物は断熱を計画していない可能性もあり、その場合は間違いなく暑い!寒い!となります。

6年前に建てられたコンクリート打放し住宅の断熱性の実証

6年前の設計時には、省エネ基準の適合義務はありませんでしたが、自邸はトップランナー基準を満足するスペックとしたので、夏場の暑い時期でも夜は、窓を開ければエアコンなしに寝ることが出来ています

昼間の炎天下はさすがに小さい子どもの熱中症の恐れもあるので、エアコンをつけて過ごしていますが、個人的にはエアコンが無くても過ごすことができると思える程度です。

計算された数字で裏付けはできていますが、家内は無理って言ってますので、個人的な感覚的なところもあるかもしれません。

コンクリート打放し住宅の今後の異常気象への対応

昨今の異常気象を見ていると、夏場の温度が40度を超える日も見受けられるようになりました。エアコンなどの設備を使い温度を下げる機械的な方法が必要となってきますが、簡単に温度をコントロール出来る断熱性を確保しているか否かが重要となってきます。

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断熱性を満足し、外観も内観もコンクリート打放しを実現する方法

断熱性を満足するには、外部の熱を室内に入れないようにする必要があります。

コンクリート自体は熱を溜めやすく、伝えやすい性質を持っていますので、コンクリートの壁面の室内側若しくは室外側へ断熱材を施し、外部の熱をシャットアウトする必要があります。

コンクリート打放しの内断熱と外断熱

外観がコンクリート打放しの場合、夏場の暑い時期は、外壁のコンクリート打放しは太陽の熱を吸収し、コンクリート自体に熱を溜め、室内へ熱を伝えようとしますが、室内側に断熱材を施すことで、その熱を室内へ伝えないようにしなければなりません。

室内側に断熱材を施すと、室内側の断熱材をそのまま表すことはなく、何かしらの仕上げ材で覆うことになります。そのため、室内側はコンクリート打放しではなくなります

コンクリートの室内側に断熱材を施す場合は、内断熱と言われていますが、逆に外断熱とする場合は、外部側に断熱材が施されることになりますので、外観はコンクリート打放しではなくなります

では、内外ともコンクリート打放しを実現するにはどのようにすればよいか

下記の2つの方法があります。

1、コンクリートの外壁を2重とし、間に断熱材をサンドイッチする。
2、内断熱と外断熱をインテリアの計画に合わせて切り替えて計画する。

コンクリートの外壁を2重とし、間に断熱材をサンドイッチすることで内外コンクリート打放しが実現

まずは外壁のコンクリート打放しをつくり、その内側へ断熱材を施し、更にその室内側へコンクリート打放しの壁を建てることで、省エネ法の基準の断熱性能に満足した内外共コンクリート打放しが実現します。

この方法は、どんなプランにも対応可能な方法で、内外共にコンクリート打放しを実現したい場合に非常に有効な手段ではありますが、外壁を2重にすることになるため、コストと敷地に余裕がなければ難しい方法でもあります。

美術館、大学施設、高級なオフィスビルなどで実際に採用されている事例を見ますが、個人住宅ではなかなか見ることはないと思います。

内断熱と外断熱をインテリアの計画に合わせて切り替えて計画することで内外コンクリート打放しが実現

わざわざコンクリート打放しを室内外共する必要性はないかもしれませんが(笑)、どうしてもしたい場合、上で挙げたコンクリート2重断熱サンドイッチ外壁が有効ですが、コストと敷地の余裕が必要です。

コストをスペースを抑えながら、内外ともコンクリート打放しを実現する方法としては、プランニングを工夫して、内断熱と外断熱を切り替えて計画することです。

具体的には、道路など表に面した外壁はコンクリート打放しとし、その室内側はコンクリート打放しを使わなくてもよい部屋(例えば水周りなど)で内断熱として配置。外部から意匠上こだわらなくてよい側は外断熱(コンクリート打放しの上に断熱材+仕上げ材)の外壁とし、室内側にコンクリート打放しとしたい部屋(例えばリビングなど)を配置することで、見せたい部分へコンクリート打放しを配置することができ、省エネ基準を満足する内外コンクリート打放しが実現します。

6年前に建てた自邸もこの方法を使い、内断熱と外断熱を切り替え、内外コンクリート打放しの住宅を実現しています。

コンクリート打放し住宅に6年住んで分かったところ

コンクリート打放しの魅力は、唯一無二の無垢な表情で、木材や石材と同じ自然素材のように、ヒトの作為的な意図が介入しない豊かな表情を持っているところです。

コンクリート打放しは、木材や煉瓦などの自然素材との相性も非常によく、長く使えば使う程、経年により美しさが増していく魅力があります。

50年以上の超スパンで考えると非常にコストパフォーマンスの高い素材でもあります。

ここまでは、想定していたのですが住んで見て発見した面白い点もありました

設計時に想定していなかったコンクリート打放し住宅の良かった所

雰囲気が抜群にいいのは、想定していた所ですが、想定していなかったコンクリート打放しのよかったところは、子どもがおもちゃを乱暴に扱っても全然平気な所です。

うちは男の子ですが、トミカのクルマのおもちゃを所狭しと走らせまわります。

トミカのレーシング台からはみ出し、フローリング、テレビボードの水平面だけではもの足らず、垂直面の壁面と乗り移り、床面・壁面の荒らし倒して遊びます。

もちろん、フローリングは傷だらけになりますが、コンクリート打放し面はびくともしません

かなり乱暴に扱ってもコンクリート打放し面は全く変わりありません。

また、クレヨンや鉛筆で落書きされたとしても、ゴシゴシ擦っても全く問題ありません。

クロスの壁面であれば、ボロボロにされていただろうなと思います。

あとは、外壁面も同様に家内がテニスの練習台にしてますが、まったく問題ありません

サイディングやガルバであれば、テニスボールといえどかなり強くなれば、型が残ってしまいますが、コンクリート打放しであれば全く問題はありません。

設計者としては、6年間の住み心地は凡そ想定していた通りで、子どもの乱暴さと家内のテニスの練習での使い方は想定外でしたが、コンクリート打放しにしておいて良かったと思う点でした。

コンクリート打放し住宅の残念だった所

コンクリート打放しにした時の不安事の中で上位にあがる内容としては、子どもへの安全性です。

コンクリート打放しは、石膏ボードや板張りに比べてかなり硬い素材で、ほぼ石と同じような物です。そんな所で頭でも打とうものなら・・・と心配になります。

これも理解し家内にも説明した上でのことですが、やはり住んでみれば、家内からの「打放しなので危ない」論法攻めにあいます。

ここは考え方はそれぞれありますので、小さな子どもが居る家庭では慎重に話した上でコンクリート打放しを選択をする必要があります。

もう一つ残念だったことは、お風呂場のカビ問題です。

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自邸は、お風呂の壁面もコンクリート打放しにしています。

コンクリート打放しは、その現場の温度や湿度、職人の腕に仕上りの表情が異なってきます

その表情の違うディテールは、コンクリートと水の混ざりあい凝結する過程が表情として表れることと、空気が抜けてコンクリートが出来る過程で、一部空気が抜けきれず小さな孔が出来て表情をつくり上げることで、唯一無二のその現場でしか出来ない表情となります。

これがコンクリート打放しの豊かな表情を生み出すことになるのですが、お風呂場ではそれがアザとなりうるのです。

このコンクリートが固まる際に出来る小さな孔(一般的にピンホールと言われる)に水分がとどまり、カビの生える原因になってしまうのです。

外壁であれば、天気のいい日に乾燥されてカビになることはありませんが、お風呂は年中湿気ていますので、いくら窓をあけて乾燥しても毎日水気を使われる場所で、小さな孔の水気はカビを呼び込んでしまいます。

お風呂場をコンクリート打放しとする場合、そのコンクリート打放しの豊かな表情は少しあきらめてモルタル等で補修し、小さな孔(ピンホール)は全て塞いでしまうほうがよいと思います。

コンクリート打放しの住宅に6年住んでわかったこと

基本的には6年前に設計した想定以上に気持ちいい豊かな空間で、コンクリート打放しにして良かったと思っています。

お金に余裕があれば、外壁やお風呂場のコンクリート打放しは数十年に一度、洗浄と表面保護コーティングをしたいと思っていますが、お金に余裕がなければ、この汚れを加えた経年変化を楽しみながら過ごすのもいいかと思っています。

コンクリート打放しの住宅に6年住んでわかったことは、住まい手に寛容で如何様にも対応できる素晴らしい素材であることが再認識できました。

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この記事を書いた人

・一級建築士
・インテリアプランナー
幼少期から大学までは和歌山の実家で田舎暮らし。
大手ハウスメーカーで累計約40棟の住宅を技術営業として担当。
その後、組織設計事務所に転職し、学校・庁舎・道の駅・公民館・発電所等の主に公共建築物の設計に携わる。
現在は組織設計事務所に所属し、日々建築設計業務に取り組む傍ら、建築系webライターとして建築に関わるマニアックな情報から住宅購入に関わる内容まで幅広く発信している。
和歌山から、大阪、東京と住まいを移し、また和歌山戻り、田舎に自邸を建てる。

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