木材を自然に建築へ落とし込むデザインと技術

木材を建物の外壁やルーバー、扉や床材などに使う場合、自然に近い生のままで使うのが最も美しいと感じられます。

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ただし、雨や紫外線、結露や湿気などの外的要因により木材は劣化し、建築に求められる防雨機能や強度などの性能が満たさなくなる場合があります。

美しさと機能の両立を図るべく、木材の防腐技術が様々開発され、長期にわたり木材が劣化しにくく使い続けられるように進化していますが、結論的には永久的に生に近いまま使い続ける技術はまだ開発されていません

木材を木材らしく、美しく使い続けるには、ある程度厚みをもった木材で、地域の風土や方角にあった樹種の選定、深い庇で雨や紫外線に当たりにくくするなどの建築的な工夫により、経年変化しながらも使い続けられるデザインをすることが最も美しく、何百年と使い続けられる方法です。

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昨今の木材の防腐技術や不燃処理技術の特徴を簡単に取りまとめました。

やむを得ず、建築的な工夫が難しく木材自体に防腐機能を持たせる必要がある場合は、これらの技術を使うことも一つです。

ただし、この技術に頼りきるのは間違いで、やはり木材は劣化することを前提に考える必要があります。

目次

外部などの水がかりとなる所へ、自然の木材を使う場合の防腐処理方法

外壁やウッドデッキ、外部の目隠しルーバーや、板塀など、外部の雨や紫外線が直接木部に触れる箇所や、基礎の土台など、常に湿気がこもる所などで、自然の木材を使う場合の防腐処理技術を下記に紹介します。

1、防蟻防腐薬液注入木材

従来から使用され最も一般的な工法です。木造住宅の基礎の土台などは、この技術が使われています。

特徴としては、木材の防腐処理技術の中で最もコストを抑えられるところです。

その反面、見た目は緑っぽくなり、木材のやさしい雰囲気はかき消されます。

したがって、使用箇所としては、目につかない基礎の土台や、外装の下地材と使用されることが一般的です。

2、高温処理木材(越井木材、吉田製材、池上産業)

高温処理木材の特徴は薬液を使用せず、高熱処理(約220℃)により、耐久性、寸法安定性、抗菌性を向上させるところです。

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高温で処理する為、木材が収縮します。使用したい部位のデザイン(計画寸法)の1.2倍から1.3倍程度の大きさの基材が必要となりますので、コストが割高となるデメリットがあります。

高温処理で細胞を壊すことになりますので、ヒトが日焼けサロンに入った状態のイメージで、細胞にダメージを与えていることになります。

細胞が生きているため、劣化が進行することを逆手にとり、細胞の機能を停止させることで劣化しにくくしているイメージです。

また、高温により絶乾状態となり木材の色目が濃い茶系となります。

木材の色目が濃い茶系で、統一感が生まれるところは、木材の色目のバラつき感が好みでない場合はよいかもしれませんが、塗装やクロスなどと違い、色味にバラつきがある所が木材のいいところと考える場合は少し物足りなさがあるかもしれません。

3、乾式加圧式保存処理木材(吉田製材、兼松サステック)

揮発性の油溶剤を加圧注入することで、耐久性、寸法安定性、抗菌性が向上する技術です。

最近の技術で、2020年東京オリンピックで使用された国立競技場でも使用されています。

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この技術は、防腐薬剤処理や高温処理とはことなり、特殊な揮発性オイルを注入するだけですので、見た目は生木材のままであることです。

JAS認定K4、AQ認証1種も取得しており、公的な認定もあるため、公共建築物での使用も増えてきている技術です。

1、防蟻防腐薬液注入木材は、薬液で木材を腐りにくくしている。見た目が不自然となる。
2、高温処理木材は、高温で細胞を変化させ木材を腐りにくくしている、見た目が不自然となる。
3、乾式加圧式保存処理木材が最も自然に近いままで木材の性能を向上している。
ただし、やはり生のままで使えるデザイン(厚みや樹種の選定、地域の風土や方角にあった樹種の選定、深い庇で雨や紫外線に当たりにくくするなどの建築的な工夫)が最も美しい。

室内で使う木材の不燃処理技術、方法

室内で木材を使う場合は、そのまま生の木材をそのまま使います。又は、ヒトの手が触れる所は、脂質などからの美観保護するための保護塗膜を施す程度です。

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その生で使うことが最も美しい使い方ですが、法的な要求により不燃処理をする場合があります。

特に建物規模が大きい場合(不特定多数のヒトが集まる施設など)や、デザイン上排煙窓が取れなくなった場合などの火災時に可燃物があると危険と判断される場合は、やむを得ず不燃処理した木材を使用する場合があります。

見た目が変わらなければいいのですが、一般的にはリン酸やホウ酸などの薬液を注入することになりますので、水分を呼び込み白華してしまうことになります。

木材の白華現象

これら白華を抑えた技術が最近で初めていますので紹介します。

ただし、メーカーヒヤリングで100%白華しないと断言するところはありませんでした。白華はするものだと認識する必要がありそうです。

1、白華抑制不燃木(リン酸)(サカワ)

不燃処理の為、リン酸グアニジンを木材に注入します。

リン酸はグアニジンと結合することで水分子との反応がなくなるため不燃木材の過剰な吸湿性を抑えることができ、その結果、白華現象を起こりにくくしています。

2、白華抑制不燃木(ホウ酸)(吉田製材)

不燃の処理の為、ホウ酸を木材に注入します。

ホウ酸は水分と反応し、白華を起こしますので、白華抑制効果を持つ不燃木材専用塗料(キシラデコールUA)を塗布することで白華の現象を抑制しています。

3、白華抑制不燃集成材(加賀木材)

1、2に比べて白華の事例が少なく、寸法安定性が高いことが特徴です。

ただし、1、2に比べて採用事例自体が少ない為、これから実証されていくことと考えられます。

4、突板不燃板(吉田製材、DAIKEN)

上記の1~3とは異なり、薬液を注入せず木材の生のまま使用します。

特徴は、表面の木材は3mm程度と非常に薄いことです。(このことを突板と呼びます)

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不燃材の認定は、その表面ではなく下地材で認定と取得していることです。(表面が極薄の為、下地材だけで不燃が認定される仕組み)

表面の極薄木材の種類も豊富で羽目板風にすることも可能です。

上記の1~3は、薬液注入する為、少なからず白華しることと、リン酸・ホウ酸を使うことで余分な水分を木に呼び寄せていることになります。

一方、突板不燃木の場合、生の木材のまま使用出来る為、白華の恐れもありません。

木材の厚みがないため、デザインの縛りはやや受けることになります。

薬液注入木材は、いくら抑制しても少なからず白華する。
やむを得ず使用する場合は、白華を許容する使い方を工夫する。

まずは、室内で木材を使用する場合は出来るかぎり、法的解決(避難安全検証法や、1/10内装制限緩和、天井不燃化による壁面内装制限緩和など)により不燃化を避けるのが一番!

それでも不燃化から逃れない場合は、目線から遠い天井面にするのが効果的です。
天井面は壁面とは異なり、家具などの邪魔ものが少なく、シンプルに木質を魅せることができるので、木の表現が最も美しく表現できる場の一つです。

pinterest(天井木材のイメージ)

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この記事を書いた人

・一級建築士
・インテリアプランナー
幼少期から大学までは和歌山の実家で田舎暮らし。
大手ハウスメーカーで累計約40棟の住宅を技術営業として担当。
その後、組織設計事務所に転職し、学校・庁舎・道の駅・公民館・発電所等の主に公共建築物の設計に携わる。
現在は組織設計事務所に所属し、日々建築設計業務に取り組む傍ら、建築系webライターとして建築に関わるマニアックな情報から住宅購入に関わる内容まで幅広く発信している。
和歌山から、大阪、東京と住まいを移し、また和歌山戻り、田舎に自邸を建てる。

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