ディズニーランドが非日常的空間をつくりだしている理由

ディズニーランド
ディズニーランドの非日常感の訳

ディズニーランドは夢の国として、子どもたちだけでなく大人までも非日常的感な魅力を長年にわたり与え続けてくれています。

館内のどこを見渡しても、ビルや電柱などの現実的なものが見えないよう、植栽の配置、高さ、密度のデザインにより完全に隠されています。

建築の高度な技術力が随所に施され、非日常的な美しい空間がつくられています

目次

ディズニーランドの非日常的空間を感じられる理由

ディズニーランドが非日常的空間をつくりだしている理由は、建築技術的に高度な設計と、緻密な計算による愛情が注がれた設計・施工がなされているからに他なりません。

ディズニーランドの非日常的空間をつくり上げる設計技法4選

  1. 計算されたディズニーランド館内の植栽計画
  2. 計算された雨水の導きかた
  3. 消火設備の配置にも工夫
  4. 大地震が来ても割れない、沈まない地盤面

1、計算されたディズニーランド館内の植栽計画

まったく、ビルが見えない。

どこに居てもビルや鉄道などの日常が見えないよう植栽の配置や、建物の配置・高さがデザインされています

特に植栽は、常に成長し季節によって状態が変化するものですが、その変化度合とメンテナンスサイクルも計算に入れデザインされています。

高さのある植栽が多くなると圧迫案があり、館内の見渡しも悪くなるので低木やグランドカバーを組み合わせて来場者の動線をうまくコントロールしています。

さらに、季節によって色付く植栽の配置や、冬季でも緑が美しい樹種を選定し、一年中植栽が活き活きとする計画で大人たちも魅了される空間をつくり上げています。

2、計算された雨水の導きかた

屋外の床面には水たまりとならない為の側溝やグレーチングが計画されるものですが、

ディズニーランドの床面には側溝のようなものが見当たりません

では、技術的にどう解決しているか。

それは、側溝を設けずに、床面を少しずつ傾けて、その勾配だけで雨水を狙った部分へ導き集水しています。

その傾きも、人の三半規管では気付かない程度の傾きで、かつ、水溜まりにならないギリギリの傾きで計算されています。

雨水の導かれ集水される先は、こんな感じで部分的にスリットとなっています。

また、メンテナンスもしやすいように取り外しが出来るディテールになっています。

このちょっとした建築的な工夫が非日常的感を作り出しているのです。

また、単に美しい空間を作るだけでなく、雨の日にも水たまりが出来ず、将来にわたりメンテナンスもし易い配慮がなされているところも流石ディズニーランドです。

3、消火設備の配置にも工夫

建築物には、火災時に安全に避難や消防活動が行えるよう、法律により消火器や火災報知器などを設置しなければならない基準設けられています

具体的には、火災を素早く感知し利用者に知らせるための「自動火災報知機」、火災時の初期消火をする為の消化器や消火栓、火災時に煙に巻き込まれても素早く避難できるように誘導する「誘導灯」など、建築物には、それらの消防設備が法的に必要と定められています。

ディズニーランドの建物も例外ではなく、それら消防設備は安全上設置されているはずですが見当たりません。隠しミッキーならず隠し消火設備です。

火災時になると天井からそれらの消火設備が下りてくるよう仕組まれているのです。

(いい写真がとれてないのが残念ですが、館内の建物の天井をみると、それらが隠されているのが分かります)

ちなみに法的に必要とされる自動火災報知機や消火栓、誘導灯のイメージはこんなイメージです。よく見かけるものがディズニーランドでは見かけることがありません。

4、大地震が来ても割れない、沈まない地盤面

建築物は、震度6の地震が来ても建物が傾かないよう地盤、基礎の設計を行います。

弱い地盤であれば、杭を打つこともや、地盤を強いものに変える地盤改良を施すことになります。

ただし、建物が建たない外構部分に関しては、法的な規定はなく一般的には地盤補強されずに、コンクリートやアスファルトの舗装が敷かれることになります。

よって、大地震が来た時に建物には影響がなくても、道路が陥没したり、大きくひび割れることになります。

ディズニーランドでは、建物だけでなく敷地全体を地盤改良し補強しています。しかも、元々海だった場所ですので、かなり深くまで地盤を改良していることになります。

3.11の東日本大震災の時にも、ディズニーランドは震度6程度の大地震に見舞われましたが、建物だけでなく、敷地の床面にも被害はなく、すぐに営業が再開可能となりました。

万が一にも備えた万全の技術で、夢の国を実現されています

ディズニーランドは非日常的な空間を作り上げるだけでなく、本当の美しさを追求した形

ディズニーランドは見た目の美しさだけでなく、技術的な解決により、将来のメンテナンス性にも配慮し、雨天時や非常時にも安全に利用できるようデザインされた施設です。

ディズニーランドに行くまでは、遊園地のイメージかハリボテ建築(構造体とは別に、化粧により作られる見た目だけのデザイン)であまりいい印象ではなかったのですが、、、

いざ行ってみると建築的な工夫が満載で、非常に勉強にもなる施設でした!

ディズニーランド

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この記事を書いた人

・一級建築士
・インテリアプランナー
幼少期から大学までは和歌山の実家で田舎暮らし。
大手ハウスメーカーで累計約40棟の住宅を技術営業として担当。
その後、組織設計事務所に転職し、学校・庁舎・道の駅・公民館・発電所等の主に公共建築物の設計に携わる。
現在は組織設計事務所に所属し、日々建築設計業務に取り組む傍ら、建築系webライターとして建築に関わるマニアックな情報から住宅購入に関わる内容まで幅広く発信している。
和歌山から、大阪、東京と住まいを移し、また和歌山戻り、田舎に自邸を建てる。

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