機能的で美しいエクステリアを実現する方法

機能的で美しいエクステリアを実現する方法は、以下の3つです。

環境に配慮する

必要な機能の整理

コスト配分

外部空間を彩るエクステリアは、街の修景にも影響を与え、街の風景、日本の風景となり得ます。

また、現在ではデザイン的な美しさだけでなく防犯性やプライバシーなどの機能性も求められています。

周辺環境と調和し、エクステリアに求められる機能をコスト配分と合わせ整理することで、機能的で美しくコストパフォーマンスの高いエクステリアを実現することができます。

目次

エクステリアとは

エクステリアは歴史も古く、西洋デザインから日本庭園などを経て現在のエクステリアデザインがあります。

エクステリアと外構の違い

エクステリアとは、建物の外側のデザイン一式を示すものです。

建物の外観、門扉やフェンスなどの囲障、土間やタイルなどの舗装、グランドカバーや高木などの植栽など、外部の空間を彩るすべてがエクステリアです。

一方、外構とは外部空間のデザインではなく、それぞれの工事種目(例えば、門扉や土間など)を示します。

したがって、門扉や土間は外部空間をデザインするエクステリアアイテムであり、外構工事の1つでもあります。

エクステリアの歴史

日本のエクステリアの歴史は、古くは飛鳥時代の日本庭園まで遡ります。

6世紀頃の飛鳥時代の日本庭園以降、20世紀に入り徐々に西洋ガーデンが取り入れられ、日本でも多様なデザインが街を彩るようになりました。

飛鳥時代の日本庭園、西洋ガーデンが入ってきた時代には、エクステリアという言葉はありませんでしたが、建物を合わせた外部空間を自然と調和しデザインする考え方は、現在のエクステリアデザインに通じるところはあります。

日本庭園の特徴

日本庭園の特徴は、自然の風景を模し自然の修景に調和することです。

自然の素材、石や木、砂、水などを用いて、自然の山や池、川などを芸術的に表現します。

自然の風景を大切にした日本庭園は、6世紀ごろの飛鳥時代から現代まで引き継がれ大切に継承されています。

西洋ガーデンの到来

西洋ガーデンは紀元前から存在しますが、19世紀以降イングリッシュガーデン(風景式庭園)として貴族だけでなく、農家など一軒家の庭でも楽しめるよう浸透していったといわれています。

西洋ガーデンの特徴は、庭に沢山の植栽を植え緑豊かな空間をつくり上げ、自然そのものの美しさを大切にする考えがあります。

ベンチやパーゴラなどを配置する場合は、レンガや木など自然素材が用いられることも特徴的で、自然素材を用いることで経年変化も楽しんでいくという考えがあります。

自然との調和という意味では、日本庭園にも通じるところです。

機能性の現代エクステリア

歴史ある日本庭園や西洋ガーデンが自然を大切にする考えがある一方、現代のエクステリアに求められているのは芸術性だけでなく、防犯性やプライバシーなどの機能性を重視することろがあります。

また、カーポートやフェンスなどの現代ならではの新しい要素も加わり、更にデザイン要素も複雑になりつつあります。

これらの新しい機能性に、歴史ある芸術性をうまく融合し、街に溶け込むエクステリアデザインが望まれます。

現代のエクステリアに求められる機能

現代のエクステリアには、門扉、門柱、フェンス、カーポート、デッキ、植栽、など沢山の機能があります。

また、和風テイスト、モダンテイスト、リゾートテイスト、ナチュラルテイストなど、好みのデザインも様々です。

これら沢山ある要素をエクステリアに配置する上で、現代求められているのは、デザイン性・景観配慮、防犯性などの機能性が重要視されています。

デザイン性・景観配慮

デザイン性・景観配慮については、日本庭園時代から修景に配慮し自然と調和する考えがあり、古くから大切に引き継がれてきた考えです。

現代では、自然豊かな場所もあれば都市型の住宅地など様々ですが、人は本能的に自然に接することで幸せを感じられるようにできているという考え方があります。
住居である以上、自然に配慮したデザインを考える必要があります。

具体的には、駐車場のコンクリート土間だけとするのではなく、土間に少しでも隙間をつくり植栽を配置するなど、小さな工夫で入居者への落ち着きを与えたり、街や風景へいい影響を与えます。

外部空間と内部空間の一体化

外部空間と内部空間を連続させることで、室内に居ながらも外部の自然を感じられ、内部空間をより広く開放的に感じられます。

最近では、庭でバーベキューをしたり、子どもやペットの遊び場として利用するアウトドアリビングとして定着しつつあります。

アウトドアリビングを計画するポイントとしては、プライバシーの確保と内部と連続する床材が重視されます。

外部からの視線をカットするような目隠しフェンスや生垣、もしくは建築的に中庭空間をつくるなどしてプライバシーに配慮します。

内部からの連続性を確保するために、床材は裸足でも出て行けるようなウッドデッキやタイルテラスとします。

日本では昔から縁側や土間などがあり、馴染み深く感じられます。

防犯性

日本の住居では古くから防犯性に配慮して造られてきた歴史があります。

町家の建築を見ると、道路に面する開口部は全て縦格子のデザインが採用されています。

これは、外部空間の光・風を住居内に導き入れ、泥棒などの侵入を食い止める術としてデザインされてきたものです。

その防犯性を高める格子のデザインが日本的なアイコンにもなっています。

現代では建物はオープンなガラス張りであったり、外部のフェンスもないオープンなデザインが多く見受けられます。

昔の京町屋などをヒントに格子などを組み入れ、更に最新の技術であるICTを組み合わせることで、現代の美しい防犯性の高いエクステリアデザインが実現します。

機能的で美しいエクステリアを実現する

現代のエクステリアに求められる機能性に満足し、周辺環境や日本の風景にも配慮した美しいエクステリアデザインを実現するために重視する点は、以下の3点です。

・環境に配慮する

・必要な機能の整理

・コスト配分

環境に配慮すること

環境に配慮することとは、周辺への配慮と自然への調和を示します。

エクステリアは、街の風景に大きな影響を与えます。

美しい街づくりをするには、周辺環境に配慮し、日本の美しい自然と調和することが重要となります。

必要となる機能性を満足させ、予算内でのエクステリアが選定できれば、最後に景観性を取り入れましょう。

カーポートやフェンスなどの構造物だけとなった場合は、少しでも道路や隣地から構造物は控えて配置し、少しばかりの植栽スペースを取り入れることで周辺環境への配慮と自然への調和が生まれてきます。

これは敷地が狭く物理的に困難な場合がありますので100%は難しいと考えますが、心ばかりの配慮が街の景観に寄与します。

重視する機能を整理する

エクステリアをデザインする前に、必要とする機能と、重視する機能を整理する必要があります。

まずは必要とする機能としては、駐車台数、駐輪台数、家事動線、来客動線、プライベート空間とパブリック空間とのゾーニング分けなどです。

次に、重視する機能として、デザイン性、防犯性、アウトドアリビング化、その他を整理することで、おのずと土間やアプローチなどの舗装範囲が決まり、門扉の配置やフェンスの有無、デッキの有無などが導かれてきます。

コスト配分

重視する機能を整理した上で、必要とされるエクステリアアイテムとなる門柱やフェンス、カーポートなどの要否とグレード感によりコスト配分を行います。

駐車場2台分程度の広さがある一般的なエクステリア空間であれば、50万円〜200万円程度が相場となります。

建物自体で景観をデザインし、エクステリアは土間と植栽だけでデザインするような殆どのエクステリアにお金を掛けない方法もあります。

また、エクステリアのコストに大きな影響があるのは、カーポートや門柱、フェンスなどの基礎を必要とするような構造物です。

エクステリアにどの程度予算を配分できるか、ある程度把握したうえで建物自体のデザインを検討することをおすすめします。

まとめ

日本では昔から外部空間を豊かにする考えがあり、世界的にも日本の歴史的な街並みや風景は高い評価を受けています。

外部空間を彩るエクステリアは、入居する個人だけでなく、街の修景にも影響を与え、いずれ日本の風景となっていきます。

現代に求められる機能性に対しても、歴史からヒントを得たうえで、最新技術を取り入れ、周辺への配慮と自然への調和を図ることで、機能的で美しいエクステリアを実現することができます。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

・一級建築士
・インテリアプランナー
幼少期から大学までは和歌山の実家で田舎暮らし。
大手ハウスメーカーで累計約40棟の住宅を技術営業として担当。
その後、組織設計事務所に転職し、学校・庁舎・道の駅・公民館・発電所等の主に公共建築物の設計に携わる。
現在は組織設計事務所に所属し、日々建築設計業務に取り組む傍ら、建築系webライターとして建築に関わるマニアックな情報から住宅購入に関わる内容まで幅広く発信している。
和歌山から、大阪、東京と住まいを移し、また和歌山戻り、田舎に自邸を建てる。

コメント

コメントする

目次