設計者やデザイナーが定時に帰る方法

建築設計者やデザイナーは、雑誌に載ったり地図に載るような仕事で華やかなイメージがあるかもしれませんが、

現実は休日返上、平日も夜遅くまで仕事をしています。

企業で働く以上、営利を目的としていますので売上と利益も必要となってきます。

『利益を確保し、質の高い成果を残しつつ定時で帰ることなんて夢のまた夢。』と考えている設計者・デザイナーは多くいるのではないでしょうか

「量は質を超える」「深くモノゴトを考え抜く」などはデザインを考える上で重要なことですが、

これからの時代、法令を順守し、効率的な方法でデザインに質を与えることが求められています。

法令を順守し、もっと効率的にデザインに質を与える方法は以下の3つです。
・あきらめる勇気
・早く帰る勇気
・事務所で悩まない

この3つを実施することで、倍の努力を積み上げることができ、効率的にデザインに質を与え、定時に帰ることが実現します。

目次

効率的にデザインに質を与える方法「あきらめる勇気」

設計者やデザイナーにとって相応しくない言葉かもしれませんが、際限なく考えてできるものがいいものとは限らないのも事実です。

単にあきらめるのではなく、デザインに質を与えるための「あきらめる勇気」です。

ポイントは以下の3点です。

・期限内に80点の納得度でも完成させる

・集中できない時は場面を変える

・心理的作用を利用する

期間内に80点の納得度でも完成させる

期間内に完成させることが、どんなプロジェクトにおいても重要です。

いくら100点満点のアイデアがあったとしても、期限内に未完成であれば0点です。評価も売上も確保できません。

限られた時間で、期限内に求められる成果をあげるためには、効率よくモノゴトを決めていくスキルが求められています。

いつまでも100点を目指すのではなく、80点程の納得度で期限内に成果を100%完成させ、次のフェーズに進むスピード感も重要です。

効率よくモノゴトをスピード感を持って決めるスキルは、積み上げられた知識と経験が必要で、チームでのプロジェクトの場合、知識と経験を積み重ねたリーダーの存在が重要となります。

知識と経験を持ったリーダーは100点満点を目指すのではなく、80点程度の納得度で次々とモノゴトを決める「あきらめる勇気」をもつことで、時間の効率化に繋がります。

集中できないときは場面を変える

デザインを考えている時間に他の急な業務連絡がはいる場面や、ついSNSを見て集中できない場面、休日の家族や友人との約束など、まとまった時間が取れない場面は誰しもあります。

一定の集中する時間を確保することは非常に重要ですが、それをあきらめることもある意味効率化に繋がったりします。

設計者やデザイナーなどのクリエイティブな業務の場合、いくら考えても思いつかない時はあります。机に向かってトライアンドエラーを繰り返す場面も必要ですが、頭を切り替えているときに思い浮かぶことが実は多くあります。

有名なのは、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグも取り入れているwalking meetingです。会議で議論するよりも、ウォーキングなどの少し場面を変えた時にいいアイデアが浮かぶことを感覚的に理解していたのです。

このことは、スタンフォード大学の2014年の研究で歩いているときにはクリエイティビティの出力が、平均で60パーセントもアップすると実証されています。

集中できないのは、考えよう考えようとしてる時に、他のことが横から入ってくることで集中力が途切れると考えてしまうからで、集中することをあきらめることで、よりいいアイデアが思いつく可能性があることを理解することも集中する1つのコツだと実感しています。

心理的作用を利用する

業務の中には、期限が長く比較的ゆっくり考えられる場面もしばしばあります。

期限があるものは先延ばしにし、他の緊急性の高いものや簡単に片付けられそうな業務で満足してしまい、結局ゆとりがないままバタバタ終わってしまうことがよく見受けられます。

このような場面は、追い詰められないと頑張れないという心理的な作用が働いています。

期限に余裕がある業務は、作業内容を出来る限り細分化し、細かな作業量を割り増しして見せることがポイントです。小さな達成感を積み上げ効率を上げることにつながります。

早く帰る方法=早く帰る勇気

事務所で夜遅くまで仕事をしている中、若手が先に帰る時のあの空気感。なかなか勇気がいることです。

早く帰る社内の雰囲気をつくるポイントは以下の2つです。

・若手から早く帰ることでリーダーの意思決定スピードをあげる

・自分へ程良いストレスをかける

若手から早く帰ることでリーダーの意思決定スピードをあげる

皆が同じベクトルを持ち、同じ意欲の事務所であればあのような空気感はないのかもしれませんが、ある程度の人数が働く事務所では、皆が同じベクトルと意欲をもってる場合は意外と少ないのではないでしょうか。

早く帰るには、リーダーの意思決定のスピードや部下の采配によるところが大きく影響します。

下の若い世代からも早く帰る勇気をもつことも、遅くまで仕事をする風潮を変えるヒントに繋がります。

作業員が早く帰ることでリーダーはより意思決定のスピードを上げることを考えさせられることと、新しい風潮が生まれるきっかけに繋がります。

自分へ程良いストレスをかける

ヒトはある程度の緊張感・ストレスを持っている方が成長すると言われています。

ストレスは、カナダの生理学者ハンス・セリエ博士によって初めて称されたもので、精神緊張・心労・苦痛・寒冷・感染などごく普通に見られる刺激(ストレサー)に対する身体の非特異的な反応と示されています。

人は日常生活の中で様々なストレスを受けていますが、先のセリエ博士は「ストレス は人生のスパイスである」とも示しています。

適度なスパイスは料理を一層美味にするのと同じように、適度なストレスは緊張感や能力を高め、困難を克服し目標達成の充実感は人生にメリハリを与え、人間の成長にもつながり無くては成らないもので、良い効果もあるとされているのです。

社内の空気感より自分の成長に繋がると考え、早く帰る勇気をもつことも重要です。

効率的にデザインに質を与える「事務所で悩まない」こと

設計者やデザイナーが常日頃陥る「悩む」「決定できない」こと。

デザインだけでなく、デザインに関わる法令、納まり、色彩、事業採算性、施工性、耐久性などなど、1つの線を決めるだけで考えることは無数にあり、決定することができないことが常日頃あるかと思います。

この決定に要する時間が、最もクリエイティブな時間でもあるため、この時間を省略すると質が落ちることに繋がります。

この決定に要する時間を効率化させるコツは創造性の4Bにヒントがあります。

・Bathroomでのクリエイティブタイム

・Busでのクリエイティブタイム

・Bedでのクリエイティブタイム

・Barでのクリエイティブタイプ

デザインの質を効率的に確保する創造性の4B

質を落とさず、効率的な量を積み上げる方法は「創造性の4B」が設計者やデザイナーにも適用できるのではないかと考えます。

創造性の4Bとは、2018年に出版された、精神科医で作家の樺沢紫苑氏の著書「学びを結果に変えるアウトプット大全」の中で紹介されているもので、アイデアを考える時間・場所は、Bathroom・Bus・Bed・Barの4つがよいと記されています。

元をたどれば中国・北宋時代の欧陽脩いわく、馬上、枕上、厠上の3つを合わせた三上は、文章を練る(考え事をする)時に最も都合が良いとされる場所とあり、その現代版の三上として、Bathroom・Bus・Bed・Barを指しています。

創造性の4Bは誰にでもできる効率的なクリエイティブタイム

創造性の4B「Bathroom・Bus・Bed・Bar」は誰にでも実践できる効率的なクリエイティブタイムです。

すべて、クリエイターであれば何となく心当たりがあるのではないでしょうか。

お風呂に入っているとき、移動しているとき、寝る前や起きた瞬間、お酒を呑んでいるときなど、ふいに思いつくアイデアがあったりします。

Bathroomでのクリエイティブタイム

お風呂の場面では体が温まると血行が良くなり脳の働きもよくなります。また、お腹が温まると幸せを感じるホルモンであるセロトニンが分泌されるため思考がポジティブになるようです。

また、ヒトには「潜水反応」という作用があり、水に触れると心拍数が10〜25パーセント程度下がり、ゆったりとした呼吸になります。

心拍数が下がると、ヨガで呼吸を整える時や、深呼吸をした時のようにリラックスし、気分が落ち着くことにつながります。

Busでのクリエイティブタイム

移動中を示します。バスや電車などは不特定多数のヒトを見る環境にあります。絶えず行き交う人の流れやふと耳に入る会話、移動とともに流れる景色からアイデアヒントを得ることも少なくないと言われています。

特に人間の脳は無意識に必要な情報を取捨選択し情報を取り入れていると、理化学研究所の研究でも明らかにされています。考え事をしながら外に出れば、意識しなくともヒントや答えとなる情報を拾うことが出来るため、人とともに多くの情報が行き交うBus(移動中)はアイディアの生まれやすい環境とされています。

Bedでのクリエイティブタイム

眠る前や目覚めた時のうつろなタイミングはアイディアの生まれやすい時間とされています。それは潜在意識と顕在意識、2つの意識が関係していると言われています。

普段考えたり悩んだりしているのは脳の10パーセント程度の顕在意識で、残り90パーセントを潜在意識と言われており、その潜在意識に委ねてしまうのが眠る前や目覚めた時のうつろなタイミングです。

普段では思いつかないアイデアが思いつくクリエイティブタイムでもあるのです。

Barでのクリエイティブタイプ

移動中と同様に外部からの情報を得られる環境であることと、ほろ酔いの状態は普段考えつかないアイディアが浮かんだり、言いにくいことが言えたりするため、行き詰まった時にはアルコールの力も有効とされています。

また、ひとりでいくBarには初めて会うヒトとの会話やマスターとの会話の中にもアイデアヒントが見つかる場合もあります。無責任に意見する第三者だからこそ、自分が無意識にブレーキをかけているようなアイディアもフランクに口に出すことが出来るという気軽さがあります。

倍の努力を効率的に積み上げることで帰社時間を早くする

クリエイティブな仕事に就けるヒトは、努力できるヒト、知識を積み重ねることを努力と思っていないヒトが多く存在します。

そんな中で、効率的に仕事を進め、更には結果を残した上で早く帰ることを実現するには、飛び抜けるしかないのです。

飛び抜けるにはどうすればよいか。

それは努力するヒトが沢山いるクリエイティブな業界の中でも倍努力することです。

このことは、ある程度認知されているため夜遅くまで頑張れる風潮が今も続いているわけですが、効率よく量を積み上げ倍努力する方法は、「あきらめる勇気」「早く帰る勇気」「事務所で悩まない」を実践することで、ヒトの倍努力を積み上げることができ、成果を残せることに繋がります。

また、飛び抜けた成果を出すことで好循環が生まれ、「あきらめる勇気」「早くかえる勇気」「事務所で悩まない」を更に効率化させ帰社時間を早くすることに繋がるのです。

定時に帰ることは可能なのです。


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この記事を書いた人

・一級建築士
・インテリアプランナー
幼少期から大学までは和歌山の実家で田舎暮らし。
大手ハウスメーカーで累計約40棟の住宅を技術営業として担当。
その後、組織設計事務所に転職し、学校・庁舎・道の駅・公民館・発電所等の主に公共建築物の設計に携わる。
現在は組織設計事務所に所属し、日々建築設計業務に取り組む傍ら、建築系webライターとして建築に関わるマニアックな情報から住宅購入に関わる内容まで幅広く発信している。
和歌山から、大阪、東京と住まいを移し、また和歌山戻り、田舎に自邸を建てる。

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